1455人が本棚に入れています
本棚に追加
「絵里が死ぬまで……たとえ死んだとしても、オレは絵里を離さない。だから、いつまでもオレの側で幸せにしてやるよ。」
恥ずかしがることなく、そう口にした裕樹さん。
冗談や嘘をついている様子は全く無い。
心の底からそう思ってる。
無条件にそう感じる。
死してなお裕樹さんに愛されるなんて……
裕樹さんより先に、この世からいなくなるつもりなんてないけれど、それでも、そう言える程にあたしを想ってくれる……。
「裕樹さん…」
胸が温かい気持ちでいっぱいで、溢れてしまいそう。
……涙が……
感極まって、涙腺が緩んだみたいで、目元が熱くて視界がぼやけてくる。
そんなあたしの変化に裕樹さんは気がついたようで、「泣くなよ」と頭に、額に優しいキスを落としてくれる。
頭を撫でられて、キスを落とされて。
滲んでいた涙が落ち着いた頃、裕樹さんが口を開いた。
「次、いつが休みだ?」
「次?……メモリーの定休日だよ。水曜日ね。」
「ん、わかった。何がなんでも休むから、次の水曜に指輪を買いに行こう。」
………へっ?
突然の提案……しかも、指輪を買う?
「婚約指輪と結婚指輪。あと虫よけに、これみよがしなネックレスも欲しいな……。」
………えっと………
「早いうちに陽子さんに挨拶して、オレの親父とおふくろとも会ってもらって。顔合わせも…。結納とかは別にしなくていいよな?時間もかかるし、色々面倒だ。……もちろん、絵里が必要だからすると言うなら、面倒でもきちんとするよ。あと、組の奴らへのお披露目ぐらいは簡単にするとして……。式はどうする?絵里の希望に合わすけど、オレは絵里の花嫁姿が見たいから、できればしたい。」
最初のコメントを投稿しよう!