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若返りと思える現象はそのまま続いていくかと思われたが、ある一点を境にまた元の姿へと戻っていく。どうも、ある一定期間のXの姿を行き来しているように見えた。もしかすると、今までの『異界』でもそうだったのかもしれないが、私には判断がつかない。
ともあれ、Xはしばらく鏡に映っている自分の姿を見つめていたが、不意に、その視界の隅で何かが動いた。Xが動いていないにもかかわらず、だ。Xもはっとしてそちらに視線を向けようとするが、何せこの無数の鏡だ、正しくどちらの方向で何が動いたのかを判断することができない。
Xはその場から動き出した。この『異界』の中で何が動いたのかを確かめようというのだろう。『異界』の規模を確かめること、『異界』で起こる現象をその目と耳で捉えることはXの使命だ。
だが、何とはなしに不安が胸の中にわだかまる。その予感が外れることを祈りながら、私はXの視界を映すディスプレイをじっと見据えていた。
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