紅い祝宴

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「かわいそうな子供達……」  (カノ)のルーンを部屋の中に投げ込む。 「ひとーつ」 「な、何を投げている!?」 「ふたーつ」 「質問に答えろ」 「みっーつ」 「聞こえているのか!」  横柄な夫の横柄な態度は、こんな時になっても一切、変わらなかった。 「相変わらずの上から目線……  このくらいじゃ足りない?」 「だから、王妃よ! それはなんなんだ!?」 「皆様は生焼けはお嫌いよね?  でも、大丈夫!  正直者は焼かれる心配など一つも……  一つもないのだから!!」 「まさか……」  取得できるだけ、かき集めておいたルーンストーンを盛大にばら撒いた。 「あっはっはっ、あははは!  皆様、じっくり焼き上がってね?」  そういうと誰かが声を上げるたびに ルーンの能力を発動させ、火を起こしていく。 「きっと誰も助からないわね!」  こんな家に生まれていなければと…… クローネは唇をキュッと結び、部屋を出る。  命乞いは徐々に罵倒に変わり、声にもならない叫び声になっていく。  声が上がるたびに笑いが込み上げてきた。  ――  私は壊れてしまったのだろうか? ――  小さな火は豪華な調度品を飲み込む度 その姿を巨大化させていき 熱のムラが風を呼び業火へと変えていった。 「もう……生きている意味などない」  クローネはそういうと水の中に身を委ねた。
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