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消えた紅髪の王妃
赤い髪の女が次に現れたのは、西でも東でもなかった。
南の王様の知らぬ国。
どこか懐かしく、とても優しい王様の元……毎日笑って暮らしている。
「どうしたんだい? クローネ」
あの時、クローネは死んだ。
「ヨーナク……私はここにいていいのかしら?」
クローネが生きていることが
あの男のいる南の国に届かない限りは
またあの恋文という名の
呪われた文が届くことはないだろう。
「あなたにはずっとそばに……
私のそばにいてください」
「何か大事なことを忘れている気がするのよ」
クローネが言うと男は彼女の唇を塞いで、じっと見つめて言った。
「どうか、思い出さないで……
そうなれば、あなたは
また私の手が届かない場所に
行ってしまうのだろうから」
「それは、どうしてかしら?」
「もっと長く……
口を塞いで欲しいのですか?」
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