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これはお姫様ではない誰かが、どこかの国で王妃様として暮らした幸せの物語。
執拗に求めた王はどうしているだろう?
黒髪のヘルメスの名を有した王様は、南の王様を倒して新たな英雄と成られた。
残るは黄金の呪い。
黄金は西の塔の奥深くに閉じ込められ、夕焼けの時間に静かに煌めく。
「夕焼けの輝きが美しく感じるのは、その先にある呪いの黄金が誰かの欲望を呼んでいるのかもしれないわね」
「西の太陽は呪い黄金なの?」
「そうね、だから手を伸ばしちゃダメよ?」
二人の幼児を膝に抱え、微笑む紅髪の女性。
「西から声が聞こえた時は、気をつけるのだよ」
黒髪の男が、夕焼けを見ている3人に後ろから優しく声をかける。
女性は声に気づき、その笑顔を男に向ける。
「あら」
「お父様! お帰りなさい」
「ちちうえー、おかえりー」
膝を飛び出し子供たちは全力で駆け寄る。
「こらこら、転びますよ」
「はあああい」
fin
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