僕のカッコいいお母さん

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 僕は現在、中学三年生で思春期の真っ只中にある。にも拘らず、お母さんは胸元を強調するタイトな服を着たがり、殊に温かくなる春頃から涼しくなる秋頃にかけてデコルテを露にして胸の谷間を見せつけ、半端なく僕を刺激するのだ。  元々顔だけでなくスタイルに自信を持っていて未だにスリーサイズがバスト88ウェスト56ヒップ87だと豪語するが、それは20代の頃のデータであって今は30代半ばだから流石に腹回りはちょっと贅肉がついたに違いないから鯖を読んでいると言わなければならない。しかし、バストの大きさは健在で自信満々にデコルテを見せて男の視線を思いのままに集めるのだ。  女はナイスバディを手に入れれば、誰だって私みたいにするものよ。一般の女がそうしないのは慎ましいからじゃなくてスタイルに自信がないからよとお母さんは主張する。確かにそうかもしれないが、だからと言ってあんまり男を刺激していてはその内、男に襲われはしないかと心配になるのが子たる僕と夫たるお父さんの人情というものだが、その気遣いはない。それと言うのが僕が小学二年の夏休みにこんなことがあったのだ。海へ遊びにお母さんに連れられて来た僕は、海水浴場にある公衆トイレから用を足して出て来た時、どうやら独りで来ていると思われたらしく公衆トイレの傍で僕を待っていたお母さんはナンパしようとする男に声を掛けられていた。何せビキニ姿だったから。そして男がお母さんに近づいて来て大胆にもお母さんの右手首を右手で掴むと、お母さんはまず男の右手の甲を左手で押さえ、次に右手で男の右前腕を掴んだ。それだけで正に赤子の手をひねるようにお母さんは男を参らせた。と言うのも男はまるで右腕の骨が折れたかのように痛がってお母さんから離れたのだ。そこで僕がお母さんに駆け寄ると、何だ、子持ちかと思ったらしく、その儘、男は諦めて逃げて行った。実はお母さんは合気道三段の腕前の持ち主なのだ。  そのことをお母さんから聞かされた僕は、その時、初めて知った。お父さんは前々から知っていたから危ぶむことなく僕らを海へ行かせたのだろうが、この日、お母さんは男たちの熱視線を浴びながら思う存分、僕と海水浴を楽しんだのだった。  僕は夏休みの作文を書くに当たってこの日のことを、「僕のカッコいいお母さん」と題してペンを走らせ、二学期になって発表する段になると、得意満面で自慢げに読み上げた。するとクラスメイトたちは僕を羨ましがり、爾来、僕の家を訪れる友達が増えた。勿論、僕のお母さん見たさに・・・そして担任の先生はと言うと、お母さんを頗る羨ましがった。と思う。何しろ担任の先生は見るからに男にもてるタイプじゃなく、お世辞にも器量良しとは言えないのだから・・・   ところでお母さんはコロナ禍で外出する機会が少なくなったこともあり僕に合気道を教えてくれるようになった。その度に僕は股間が膨らまないように気を付けている。お母さんに性欲を抱くなんて以ての外だもんね。でも生理現象だからこればっかりは隠しようがないよね。
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