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絶望
私はある人と一緒だった。いなくなって数週間経った今も忘れられない。忘れるわけないよ。大好きだったから。
もう、生きてる意味が分からなくなった。まるで暗闇の中で息をしているような、そんな感覚だった。
足元を見ると、宙に浮いてしまいそうで地面が遠くに見えた。ここは建物の五階の更に上、屋上。下は人通りもなく、誰も見ていない。
彼がいるかもしれない世界に行くには絶好の機会。それなのに、下を見ると足が動かなくなる。覚悟を決めなきゃ……。
深く息を吸って吐いた。覚悟は決まった。今だ、って思った瞬間、突然誰かに腕を掴まれて、後ろへと引っ張られた。
「なにをしようとしてたんだ!」
大きな声で叫ぶように、知らない男性の声が劈くように耳に届いた。振り向くと、男性が私を見ていた。
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