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たとえ辛くてもあなたを止めたい
何ヶ月か経ったある日のこと。私は目にした。女の子が飛び込もうとしているような気がした。咄嗟に体が動いていた。私は女の子の腕を掴んだ。
「なにしようとしてるの! 危ないよ!」
女の子は私を見て睨んでいた。一瞬、怯んでしまったけど、なんとか気を取り直した。
その間になんだか周りが騒がしく聞こえた。と、その瞬間私はハッと我に返った。顔を上げて辺りを見渡す。
そういえば、ここは駅だった。私はそんな事も忘れて女の子を助けようとしていたんだ。助けられたのは良かったけど、何時かまたここで何が起こるか分からない。駅に扉が取り付けられればいいんだけど……。ふとそんな事を思った。
「怪我はないですか?」
駅員が駆けつけていた。まあ、この騒ぎだし、しかも原因が私だし、仕方ないか。私は大丈夫です、と答えて女の子の対応をお願いしようと思ったけど、その子は既にこの場所にいなくなっていた。
大丈夫かなと不安になりつつも、気にしてもどうすることも出来ないから諦めるしかなかった。
また行動を起こさなければと願いつつ、私も駅を後にした。
あの人に会いに行くために改札を出た。
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