0人が本棚に入れています
本棚に追加
そう言いながら私は問題のあの道に近づいていた。
私は空を見ると、今日は満月の不気味な空が広がっていた。先月も、こんな空だったと思う。
『さあ~私も最近聞いたからよく知らないけど、数分前まで後ろに誰もいなかったのに…笑ってそこにいるらしいよ。…その鬼が』
「へ~。三流のオカルト話みたいね」
『そうね。けど、それに噂ではその後に仲間が来て、体のあちこちを噛まれるとか』
「典型的な三流オカルト話じゃん。アカネはなんか興味津々のようだけど?」
『まあ確かに。リサの言う通り、少し興味があるかもね。でもさ…その話ってちょっと興味わかない?』
「興味なんかわくわけないじゃん。超信じられないし。目撃者もいないのに、アカネはそんなこと本当に信じてるの?」
『私は友達として気を付けてって言っているだけ』
「ふ~ん。それでその後はどうなるの?」
『噂ではその鬼に遭遇した人は鬼の血を体に入れられて、鬼にされるみたいね』
「ふ~ん」と私は適当に相槌を打った。
ああ~面倒くさい。本当にアカネとの会話の時間が無駄だ。
他に友達を作ろうとは思わないのだろうか。
でも、こんなことしか話題がない奴に誰も寄ってこないだろうに。
自分の好みで人を厳選しているから転校してきて一か月も経つのに、友達が増えないのだ。
その時、コトンっと靴音が鳴った。私は振り返って、来た道の方に視線を向ける。
心許ない街灯が灯っているほか、不気味な暗闇が広がるだけで誰もいない。野犬や野良猫の気配さえ感じられない。
今、ここにいるのは私一人だけ。
一人……。
最初のコメントを投稿しよう!