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「さくちゃん、相当頭に来てたな。向こうから見えた顔が般若のようで近寄るの止めようかと思ったわ」
幼馴染の悠子はおっとりと喋り出した。
悠子のおかげで夏休み前に教室が修羅場となるのが危機一髪のところでなくなったで。
よっちゃん、覚えときや。こう見えて、私は執念深いねん。きっちりこの件は肩つけさしてもらうからな。
鼻息が荒くてそばにおったら吹き飛ばされそうやったわ、と悠子はおもろいのかふざけてるんか、よお分らんわ。
お父ちゃんが、何を思ったんか会社を辞めたんが私が保育所の四歳児の時やったんかな。
ちょうどバラエティー番組見てる時で
「桜、ちょっと来てくれるか? あんな桜、お父ちゃん仕事辞めてん」
これもまた、サラッーて言うから聞き逃ししそうになったわ。
「えっ、なんて言うたん?」
聞き間違えたんかなって思って聞いたら、今度はお母ちゃんが
「桜もびっくりするやんな。お父ちゃん、会社辞めてお店するねんて」
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