春を待つ桜

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 春を待つ桜 ~ プロローグ サクラ、サク~    うちの親は放任っていうんか、もっと娘のことに興味をもってもええんちゃうの? って思うねんけど世間もこんな感じなんか? 若干、六歳で考えるには大きなテーマ過ぎて考えれば考えるほど、頭がおかしくなりそうやわ。  夏休みに入る一週間前、友だちは 「なぁなあ、夏休みどこ行くって言ってるん? あたしんとこはな、鹿児島のおじいちゃんのとこに帰るねん。さくちゃんとこはどこ行くん?」  この子何言うてるん? 頭スカスカか!  私が今まで、どっか行ったっていう話したことあるか?   うちの親がめっちゃ忙しくて一人寂しくご飯食べてるって話したん忘れてるやんな。それともなんか、自分が出掛けることにテンション上がりまくって、いじってるんか?  私の顔が鬼の形相になってたらしくて 「よっちゃん、まひるちゃんが探してたで」 「えっそうなん。さくちゃん、また教えてな」  頭と手を振りながら、そのうえスキップまでして去って行ったわ。
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