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意味不明な文面の下には、URLが載っていた。まるで、一昔前に流行ったチェーンメールか何かのようだ。実に時代錯誤ないたずらである。
ベッドに寝転がってじっと天井の木の節目を見つめる。今日はなんだか疲れた。さっさと寝るのが吉だろう。電気を消して、布団に潜り込んで、目を閉じるべきだろう。
「早く寝よっと。…………ねよ」
窓の外では、名前も知らない夏の虫がささやかに鳴いている。生温い風が吹き込んできた。暑い。扇風機がこちらに首を振る。少しだけ涼しい。
はやくねよーっと。
そう思ってはいるのに、好奇心はナントカを殺すとはよく言う。好奇心に勝つことはできなかった。
寝転がったままサイドテーブルを探り、カードを引き寄せる。もう片方の手で、充電中のスマホを取り上げた。意味をなさない文字列のURLを、一文字ずつ入力する。
「……ドット、エー、アイ、オー、アール……」
E.最後の一文字を打って、確定を押したその瞬間だった。
カッ! と液晶画面から青白い光が溢れ出した。眩い光に瞳を貫かれ、私はたまらず顔を手で覆って目を瞑った。
――青い少女よ、熟れることなく、老いることなく、殺し合え。その身が朽ちるその時までは。
男とも女とも知れない、若いのか老いているのか判別のつかない声が、どこからか聞こえてきた気がした。
***
いやいや、何この急展開。さすがに笑うわ。なんて悠長に言っている場合でないことはわかるが、それ以外は何もわからない。私の頭は私の頭はショートしかけて火花を散らしていた。パチパチ。
発光するスマホに目をやられた私が、なんとか視界を回復させて辺りを見回すと、そこは見慣れない部屋だった。落ち着いた色合いの絨毯、カーテン。品の良い調度品。そしてふわふわの大きなベッドに私は腰掛けていた。私の部屋の面影はどこにもない。まるでホテルの一室のような雰囲気だ。
変な夢を見てるなぁ。と、現実逃避を試みようと思ったが、さすがに現実であることは受け止めざるをえない。あまりにも意識がはっきりしている。試しに頬をつねってみようか? ほらね痛い。
どうするべきか考えあぐねていると、突然、ドアが愉快にノックされた。トントトントン、とはしゃいだリズムを刻んでいる。
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