ひと段落

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ひと段落

 非常食(ひじょうしょく)()べた(あと)にはもう十時半(じゅうじはん)(まわ)っている。  その(なか)(わたし)たちは(あたら)しい危機(きき)直面(ちょくめん)していた。  それは、お風呂(ふろ)(はい)れないということだ。  ここはマンションだからお()()かせない、(みず)()ない状態(じょうたい)だ。 「本当(ほんとう)にどうするんだよ……」  洋平(ようへい)はあきれて(かた)()とす。  (なに)か、方法(ほうほう)はないのか……?  (わたし)はうーんと(すこ)しうなってみる。  あっ。 「シャワーだけでいいんじゃない? ほら、(みず)(かみ)(からだ)だけ(あら)っちゃってさ」 「それいいね、もう(おそ)いから洋平(ようへい)から(さき)(はい)りなさい」  お(とう)さんが指示(しじ)する。 「はーい」  洋平(ようへい)返事(へんじ)をすると、スタスタと浴室(よくしつ)移動(いどう)した。    全員(ぜんいん)、シャワーを()()わったときにはもう洋平(ようへい)はスヤスヤと寝息(ねいき)を立てている。 「停電(ていでん)、いつまで(つづ)くだろうね……」  ()()したのはお(かあ)さんだった。  (わたし)電気(でんき)がない生活(せいかつ)はいやだ。  できればもう一生(いっしょう)やりたくない。 「明日(あした)には復旧(ふっきゅう)してるといいけどね。(わたし)学校(がっこう)があるから」 「そうだな、明日(あした)学校(がっこう)(やす)みになったりしないのか?」  お(とう)さんが(たず)ねる。 「わからない、もしかしたら(やす)みになるかもしれないけど」 「そうか、響音(ことね)ももう()なさい。もしかしたら明日(あした)(はや)くいかなきゃいけないかもしれないし」  お(かあ)さんが誘導(ゆうどう)する。  (わたし)はお(かあ)さんに(したが)ってゆっくりと自分(じぶん)部屋(へや)()かった。  
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