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紹介
「ただいまー」
午後六時、私はガチャっと家のドアを開ける。
外は肌寒かったけど、家に入ると暖かい。
「おかえりなさい、お弁当はテーブルの上に置いておいてね」
優しい声が聞こえる、お母さんの声だ。
まっすぐな廊下を歩いてリビング行く。
弟がやっているゲームの音、お母さんが電子レンジで料理を温めている音、テレビの音でリビングはあふれていて少し騒がしい。
私はブレザーを近くのハンガーにかけ、お弁当をテーブルに置いた。
私は――今泉響音、私立大倉中学校の一年生だ。
漫画を読むことが好きなどこにでもいそうな普通の中学生だ。
私の家族は四人いる。
お母さんの水琴、栄養士をやっていて料理が得意だ。
時々、SNSに自分の作った料理を投稿していて、フォロワー数が急増している。
この前は朝の情報番組にテレビに出ていたっけな、美味しいチャーハンの作り方を紹介していた。
お父さんの直樹、アプリ開発会社に勤めていて多くの人気アプリを開発している。
最近はアプリの開発で忙しいのか帰りがいつも遅いけど、今日は早く帰って来ると言っていてお母さん張り切って夕飯を作っている。
弟の洋平、小学五年生で趣味はゲーム。
『ハンタークロス』というゲームがあって、そのことについて知らないことはないぐらいの知識を持っていて学校では『ハンタークロス博士』と呼ばれている。
この中でなんも取り柄がないのは私だけ。
正直に言うと、うらやましい。
でも、家族と一緒にいれて楽しい。
そんな何も不自由のない生活を送っていた。
お母さんが夕飯を作り終えるまでは自由時間となっている。
私はスマホでも見ようと思ってスマホを手に取る。
その瞬間だった。
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