アタフターコロナ

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アタフターコロナ

まだコロナウイルスが猛威を振るう中、社長は社員二十名を社長室へ呼び出した。 そして集合時間五分遅れ、マスクもつけずに社長は部屋へ入ってきた。 「待たせたな、諸君た…」 しかしそこには誰もおらず、二十台のPCに各々の顔が映っていた。 「おい、お前達一体どこだ!」 社長は大声で叫んだが、机に置かれているマイクはオフだった。 「どういうことなんだ!」 飛沫が空気に舞った瞬間、四方の壁に大きな穴が空き、大風が吹いた。 「なんだこれは。俺、熱が出てきたよ」 突然警報が部屋中に鳴り響き、天井から消毒液が社長めがけて散布された。 そのまま壁の穴から伸びてきたアームに掴まれて隔離室へ放り込まれた。 「おい、お前ら!助けろ!業務命令だ!」 社員達はそっと社長の悲鳴をミュートした。 「わかった、お前ら全員クビだ!」 社員がボタンを押すと、社長の口に×がついたマスクが装着され、社長は二度と喋れなくなった。
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