六巻神経痛セカンドオピニオン

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六巻神経痛セカンドオピニオン

「六巻神経痛?知りませんね」 前の医者の治療では治らなかったのでセカンドオピニオンに来た。 「これはタイ状疱疹ですね」 医者は体に広がっている赤い点々を指で指した。 「疱疹がタイの国みたいに」 奥から別の医者が現れた。 「いや!鯛の形をしているだろ?鯛状疱疹だ!」 椅子の下から別の医者が。 「いや!急所を蹴った力士みたいだろ?退場疱疹だ!」 ベッドの裏から 「いや!サイ状疱疹だ!」 天井裏から 「いや!大阪状疱疹だ!」 聴診器の中から 「いや!怪盗からの挑戦状疱疹だ!」 気がつけば百人以上の医者に囲まれていた。もういい。 ほとほと疲れて帰宅すると、旦那が一人居間にいた。 「ツバつけとけば治る治る」 私は無言で部屋に戻り、布団に入り眠った。 ふと目が覚めると、私のおでこにザラッとした手が。 「熱あるか?」 おでこに触られたのは何年ぶりだろう。 もう、熱が上がるじゃない。
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