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「癒やしが欲しかったんやないか? 譲が優しゅうぎゅってしちゃったら、すんなり寝てくれたんやないか」
「邪魔したら悪いかと……」
和睦の直感で買ってきた知育菓子がこんなところで役に立つとは、彼氏である譲にもわからなかっただろう。
「まあ、そこんとこの見極めは難しいやろうが、寝らにゃー出るアイデアも出らんし。ええ大人とはいえ、譲が見てやってくれると嬉しいわ。一友人として」
「――わかった。じゃあとりあえず、ナーやん。ホットケーキを作りたいから、ホットケーキミックスを買ってきてくれないか」
「えー?? またかぁ」
「ホッケケーキは未知の領域なんで」
譲が奥から毛布を取ってきて檸檬の体にかけながら、その隣に腰掛けた。こんな状態の檸檬を一人家に残して買い出しに行けない、ということなのだろう。
和睦は苦笑いして、「貸しひとつな」と呟くと再び買い出しをすべく部屋を出た。ホッケはあとで譲が美味しくいただくことを祈って。
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