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その2 合コンとお別れ
合コンの数合わせで駆り出される羽目になった譲は、面倒臭いと思いながらも友達付き合いを大切にするために出席を承諾した。別に出会いを目的として行くわけではないし、うしろめたさを感じる必要もない。
「檸檬さん、夕飯ごめん。適当に食って?」
「えー……本気で合コンなんか行くの」
玄関先で声を掛けたら、拗ねたような檸檬の声が返ってきた。譲の年上の恋人は普段からのんびりしていて、あまり嫉妬もしそうにない印象だったが、合コン出席を快く思っていないのだろうか。
「一人だけ美味しいもん食べに行くんだろ? ずるいなあ、ゆずは」
「え、そっち」
「僕もゆずの隣で飲んだり食べたりしたかった」
あまり食い気に走ることのない檸檬に意外そうな視線を向けた譲は、履きかけの靴を脱ぐと、ソファでクッションを抱いている男の傍に歩いてゆく。
「檸檬さん、今度また旨いもん作るから。今夜は悪いけど。冷蔵庫にいろいろ入ってるし」
「旨いもんて、たとえば?」
「檸檬さんが食いたいもん、リクエストくれたら」
「……そう」
檸檬は少し考えるように明後日の方を見てから、にこりと優しい笑顔になった。
「んじゃあ、ゆず。誰にもお持ち帰りされず、ちゃんと帰っておいで。約束だよ?」
「俺がお持ち帰りされるわけないじゃん? 今日の合コン、相手は女の子だよ」
「ゆずは女の子駄目じゃないでしょ」
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