その4 ナーやんとこねこねこねこ

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その4 ナーやんとこねこねこねこ

 買い出しを友人である(ゆずる)から頼まれて、スーパーマーケットへやってきたナーやんこと和睦(なごむ)は、早速難関にぶつかっていた。スマホに送られてきた買い出しリストは、牛乳、卵、生クリーム、ホケミ。 「ホケミってなんやろうな。専門用語を使うんじゃないちゃ」  和睦(なごむ)が聞いたことのない単語だった。とりあえず牛乳は一リットルパック。多い分には良いだろう。残ったら残ったで和睦が飲むので問題はない。  卵は六個入りで事足りるだろうか。白い玉と赤い玉どっちだ。ここはまあ赤……でいいだろうか。直感は大事だ。生クリーム……小さい牛乳みたいなのと、ホイップ済タイプがある。どっちだかわからない。ここは直感でホイップを選択。和睦は己の直感を疑う男ではない。 「ホケミ……ホケミ……わかった。おおかたこれや。俺って冴えちょるぜ」  ついでになんとなく目についた知育菓子こねこねこねこをかごに入れ、無事おつかい完了。友人の借りている部屋までやってくると、エプロンを着けた譲が玄関を開けてくれた。 「おう譲。これ、頼まれちょったものちゃ」 「ありがとな。さあ入ってくれ。ちょっと檸檬(れもん)さん取り込んでるけど」
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