その4 ナーやんとこねこねこねこ

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 ここは、和睦の友人と友人が仲睦まじく同棲している部屋なのだ。つまり共通の友人同士が付き合っているという、そんなに変わったシチュエーションではない。しかしながらもう一人の和睦の友人は一向に出てこなかった。 「取り込んでる? リモネン何やっちょるん?」 「檸檬(れもん)さん、ナーやん来たよ。……わりぃ、なんか昨日から返事がなくて」  譲の話によると、ここの部屋のもう一人の主である檸檬は、昨日の夜から何かに集中しているらしく一睡もしていないという。 「それでなんで俺に買い出しょー頼むんちゃ」 「いや……檸檬さんの数少ない好物でも作れば、中断してくれるかなと思ってさ」 「自分で買いに行ったらいいやろう」 「あんな状態の檸檬さん一人残して外出出来るか」 「ええ大人なんやし」 「とか言って、買ってきてくれたんだろ。ナーやんは頼れるな」 「ふん、まあな」  和睦はエコバッグに入れた買い出し食材を譲に手渡した。 「けど作るのはお前だぞ。俺は料理は出来ん。何ょー作るんか知らんけど」 「何を……って、ホットケーキだろ」 「ホットケーキ」  和睦は不思議そうに渡したエコバッグを見つめ、ふと思い出したようにその中に手を突っ込んだ。 「こねこねこねこ出すのを忘れちょったちゃ。あと、間違えたかもしれん。すまんな」 「――間違えた?」  譲はエコバッグの中に手を突っ込んで、中身を確認する。
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