悪役醜女はほくそ笑む

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あたしは結局何がしたかったんだろう。 王子様のあふれんばかりの寵愛も、舌がふやけるほどのご馳走も、今のあたしには何も響かない。城のメイドたちは、言えばなんでもやってくれるが、いつもどこか距離を感じた。偽善者じみた薄っぺらいその笑顔の裏で、あたしのことを悪く言っているのは手に取るようにわかった。 昔みたいに、湯水のように金を遣っても満たされなかった。国中の誰もがうらやむような絢爛豪華な暮らしも、ただただあたしの心を虚しくさせるばかりだった。 ねぇ、姉さん。 あたしがほんとうにほしかったものって、なに。 ---------------- “おかあさま、シンデレラはおうじさまとむすばれてしあわせだったのかな?” ――そりゃそうだとも。着るものも食べるものも、何不自由なく暮らせたのだからね。働かなくてもいいし、みんなからは大事に扱われて、このうえない幸せだよ。 “へぇ、いいなぁ。あたちもおうじさまとけっこんしたい!ねぇ、あたしもぷりんせすになれる?” ――あぁ、もちろんだとも。そのための金と時間は惜しまないからね。でもやっぱり大事なのは、積み重ねの努力よりも見てくれや、人に取り入る力だね。今度はそれについてまたお勉強しようか。そうして私に楽をさせて、幸せにさせておくれよ。
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