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いつものように構ってくる義姉が鬱陶しくて、つい素が出てしまった。いけないいけない。あたしとしたことが。
「そりゃあ、金持ちと結婚して、何不自由ない暮らしを送ることに決まっているでしょう。自分で働くなんて冗談じゃない」
あんたもそうじゃないの?というと、義姉は静かに首をふる。
「わたしはね、貧しくてもいいし、自分が稼ぐのでもいいから好いた人と一緒にいたい。でもその人は一般市民だから、きっとお母さまは結婚を許してはくれない」
なんでも、義姉にはすでに心に決めた人がいるのだという。
けれどもあのババァは家柄第一主義、典型的な利己主義者だ。自分の利益にならない存在を許すはずがない。
「あの家に生まれた時点で、わたしの運命は決まっていたの。この国1番の財をもつ王子様と結婚して、お母さまに楽をさせてあげること」
運命というより義務のようだと、義姉は自嘲気味に笑った。
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そんなやりとりから数日経ったある日。
屋敷に招待状が届いた。王子様が妃を探すため、舞踏会を開くらしい。
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