悪役醜女はほくそ笑む

7/12

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
いつものように構ってくる義姉が鬱陶しくて、つい素が出てしまった。いけないいけない。あたしとしたことが。 「そりゃあ、金持ちと結婚して、何不自由ない暮らしを送ることに決まっているでしょう。自分で働くなんて冗談じゃない」 あんたもそうじゃないの?というと、義姉は静かに首をふる。 「わたしはね、貧しくてもいいし、自分が稼ぐのでもいいから好いた人と一緒にいたい。でもその人は一般市民だから、きっとお母さまは結婚を許してはくれない」 なんでも、義姉にはすでに心に決めた人がいるのだという。 けれどもあのババァは家柄第一主義、典型的な利己主義者だ。自分の利益にならない存在を許すはずがない。 「あの家に生まれた時点で、わたしの運命は決まっていたの。この国1番の財をもつ王子様と結婚して、お母さまに楽をさせてあげること」 運命というより義務のようだと、義姉は自嘲気味に笑った。 -------------------- そんなやりとりから数日経ったある日。 屋敷に招待状が届いた。王子様が妃を探すため、舞踏会を開くらしい。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加