悪役醜女はほくそ笑む

8/12
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
ババアもこのときばかりは上機嫌で、浮足立っていた。 「ついにこの日がきたのね…!さぁ、2人とも!ここからは総仕上げに入るわよ!」 そこからはもう、大忙しだ。ドレスを新調したり、屋敷での立ち居振る舞いについてこと細かに指導されたり。 ところが、当日になって義姉は腹痛を訴えた。 苦しそうに顔を歪める彼女を労るでもなく、ババアは半狂乱。 「こんな大事な日に、どうしてくれるのよ!」 この世の終わりとでも言いたげにギャン泣きし、金切り声をあげるババアを制したのはあたしだった。 「待って、お母さま。わたくしがおりますわ。大丈夫、お義姉さまほど利口ではないけれど、きっと殿方のハートを射止めてみせるから」 なだめるようにそういうと、ババアは縋るような目であたしを見た。 「頼むよ、シンデレラ…!おまえが、おまえだけが頼りなんだ!」 そうして私に楽をさせてくれ、なんて媚びた笑いを浮かべるさまはつくづくクズ極まりない。 同族嫌悪というやつだろうか。 「おまえはここで留守番さ。その腹痛とやらが治ったら、すぐに見合いにでも出させるからね」
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!