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ババアもこのときばかりは上機嫌で、浮足立っていた。
「ついにこの日がきたのね…!さぁ、2人とも!ここからは総仕上げに入るわよ!」
そこからはもう、大忙しだ。ドレスを新調したり、屋敷での立ち居振る舞いについてこと細かに指導されたり。
ところが、当日になって義姉は腹痛を訴えた。
苦しそうに顔を歪める彼女を労るでもなく、ババアは半狂乱。
「こんな大事な日に、どうしてくれるのよ!」
この世の終わりとでも言いたげにギャン泣きし、金切り声をあげるババアを制したのはあたしだった。
「待って、お母さま。わたくしがおりますわ。大丈夫、お義姉さまほど利口ではないけれど、きっと殿方のハートを射止めてみせるから」
なだめるようにそういうと、ババアは縋るような目であたしを見た。
「頼むよ、シンデレラ…!おまえが、おまえだけが頼りなんだ!」
そうして私に楽をさせてくれ、なんて媚びた笑いを浮かべるさまはつくづくクズ極まりない。
同族嫌悪というやつだろうか。
「おまえはここで留守番さ。その腹痛とやらが治ったら、すぐに見合いにでも出させるからね」
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