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“ねぇおかあさま。
おべんきょうってどうしてもしなきゃだめ?”
――どうしたんだい、急に。
“あたちも、ほかのこみたいに、おそとであそびたい。まいにちまいにちならいごとばかり、もうつかれちゃった”
――そうかい。でもこれはね、将来のために必要なことなんだ。お母さんは、おまえのためを思ってこうしてやっているんだよ。心を鬼にしてね。
“将来のため?”
――そうさ。それじゃあ、今日は勉強はここまでにして、寝物語を聞かせてやろう。とびっきりの、シンデレラストーリーをね。
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わたしはマリオネ。
この国ではそこそこ名の知れた一族の1人娘。特筆すべき能力もなく、容姿も普通だけれど、それなりに愛されて育ってきたと思う。
「いいですか、よいところに嫁ぐには相応の知識と教養がなければいけません」
お母さまはわたしが王族の一員となることを切望していた。
それもそのはず。聞くところによると、彼女は若いころ、自分の家柄や容姿に慢心し日ごろから遊び呆けていたという。だから選ばれなかった。皇妃となることができなかった。
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