悪役醜女はほくそ笑む

1/12
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
“ねぇおかあさま。 おべんきょうってどうしてもしなきゃだめ?” ――どうしたんだい、急に。 “あたちも、ほかのこみたいに、おそとであそびたい。まいにちまいにちならいごとばかり、もうつかれちゃった” ――そうかい。でもこれはね、将来のために必要なことなんだ。お母さんは、おまえのためを思ってこうしてやっているんだよ。心を鬼にしてね。 “将来のため?” ――そうさ。それじゃあ、今日は勉強はここまでにして、寝物語を聞かせてやろう。とびっきりの、シンデレラストーリーをね。 ------------- わたしはマリオネ。 この国ではそこそこ名の知れた一族の1人娘。特筆すべき能力もなく、容姿も普通だけれど、それなりに愛されて育ってきたと思う。 「いいですか、よいところに嫁ぐには相応の知識と教養がなければいけません」 お母さまはわたしが王族の一員となることを切望していた。 それもそのはず。聞くところによると、彼女は若いころ、自分の家柄や容姿に慢心し日ごろから遊び呆けていたという。だから選ばれなかった。皇妃となることができなかった。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!