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暗闇の中、目が覚めた。
ここはどこだと身体を起こす。
見渡す限り、闇。
一体何がどうなっているのか。
小さな呻き声が聞こえた。
それは存外近い場所、というよりもっと近い、僕の真横から聞こえたものだった。
声を発した闇の塊が、もぞりと一つ身動きをする。
起きる気配のないそれを警戒し暫く見つめていると、次第に目がこの暗闇に対応し始め、その正体を僕に伝えた。
それは僕の幼なじみの女の子だった。
「おい、起きろよ」
横たわる彼女の肩を掴み、力強く揺り起こす。
やがて彼女は、また小さく呻き声を上げると、徐にその身を起こした。
「……何? もう朝?」
彼女は眠たそうに目を擦りながら、そんなお決まりのセリフを吐き、僕は吐息を吐く。
「馬鹿かお前。こんなに暗くて、朝なわけがないだろ」
「は? 起き抜けの頭でそこまで理解出来るわけないでしょ? あんたの方こそ馬鹿なんじゃないの?」
そこまで言ったところで、彼女はようやく自分の置かれている状況に気がついたようで、キョロキョロと狼狽した素振りを見せた。
「何なの? ここ。どうしてこんなに暗いわけ? ていうか、そもそもここはどこなのよ。一体何がどうなってるの?」
「そんなこと、僕だって聞きたいよ」
起きてから今まで、ずっと疑問だったことだ。
僕はここにきてようやく、これまでの経緯について思い起こすことにした。
彼女の顔を見たら、意識を失う直前、彼女と関わりがあったことを思い出したからだ。
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