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潔癖症候群
桜が降り注ぐ 喧しい季節に
僕が捉えたのは 冷たく光る瞳孔
ど真ん中を撃ち抜いた 三角形の痛みは
赤く駆け巡って 零れてしまいそうだ
孤独に揺れるのは
僕しか見えない幻……
美しく見えるだけ
君を救いたくて 伸ばした僕の手を
見つめて君は 呟いた
『バカじゃないの?』
背を向けて立ち去った あとに残ったのは
黒く染まり切った感情を握りしめた手だけ
雷鳴降りやまぬ 汚らしい模様に
僕が見つけたのは 二人の愛の庭
探した感覚に 泡立つ膝小僧
滴る情熱に 背中を押されてた
苛む劣情は
「間違いなど無い筈だ」と……
獣の咆哮
君を愛したくて 突き付けた想いは
蠢く熱で 貫いた剥き出しの矛
白い君の肌に 証を刻み込む
これで君はもう
僕しか要らないはずなんだと
翳した銀色は
未来切り拓く為の……
醜い愛情
赤く染まり切った 僕が感じたのは
冷たい君の 呟いた
『バカじゃないの』
震えるその音に 救われた気がした
気がするだけで
なんにも変わっちゃいないけど
綺麗になれた気がした
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