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俊成君の顔が赤い。なのに私を見つめる瞳は真剣で、つられて鼓動が早くなる。なんだか三年半前の、あの冬の公園のときを思い出した。
「戻ってきて、もっと状況が落ち着いてから言おうと思っている言葉があるんだ。ずっと取っておいてる言葉だけれど。あずがそんな顔すると、そういうの全部すっ飛ばして言いたくなる」
「俊成君」
どくんと心臓の音が響いたような気がした。
「俺と結」
つい俊成君の表情に見入ってしまったけれど、気が付いて、その先を聞くより早く彼の唇を私の唇でふさいでしまった。
「あず……」
俊成君の目が、驚いたように大きくなる。私はゆっくりと唇を離すと、彼の顔をのぞきこんだ。
「大丈夫。俊成君とした約束は忘れていないから。独りじゃないって、俊成君がいるっていつも思っている」
寂しいときもいっぱいあって、なんで俊成君が今ここにいないんだろうって思うときもあるけれど、それと同じくらいいつも俊成君の存在を感じている。
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