1.最初のはじまり

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 入学式の次の日からの通学は、地域で作る班登校になっている。この班はブロックごとに別れていて、あんなに近い俊成君のおうちと我が家は違うブロックということで、別々の登校となった。  この集団登校は新入学生が慣れるまでの期間限定で一月ほど続いたけれど、それが終わる頃には私はすっかり新しい友達とも馴染んでいた。登下校は同じクラスで近所に住む真由美ちゃんと一緒にして、気が付けば毎日通っていた俊成君のおうちにも、向かうことはなくなっていた。  子供の頃の視野は狭い。私は自分が俊成君から離れていったことにも気が付かず、ただ毎日を精一杯、新しく出来た自分の世界で暮らしていた。  私があらためて俊成君という存在を意識したのは、それから一年後、小学二年生になってからのことだった。
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