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私、俊成君が他の男の子と遊んでいる姿を見るのは初めてかもしれない。保育園のときはいつもお互いの家を行ったりきたりしていたから、他の友達が入ることがなかった。
「あれ誰?」
「一組の宮崎だよ」
三組の男の子たちに背を向けて歩いていくけれど、彼らの声は良く聞こえていた。周りの存在を忘れて、俊成君に話しかけてしまったんだ。それは確かにざわつくと思う。
考えてみれば、私と俊成君は生まれたときからの友達だけれど、俊成君の友達を今現在やっている彼らにそんなことは関係無いんだ。
「あの、邪魔しちゃって、ごめんね」
最初の戸惑ったような表情が気になって、背中に向かって謝った。でもその途端、俊成君が振り返って力強く否定する。
「別に大丈夫だよ」
その表情がようやく期待していたものだったことにほっとした。けれど私の心は落ち着かなく、遠巻きに私たちを見ている俊成君の友達や、じきにやって来るだろう真由美ちゃんが気になってしまう。
「今日はどうしたの?」
俊成君の自然な問いかけに答えようとして、自分が少しずつ緊張していることに気が付いた。
「……友達と、待ち合わせ」
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