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3.気まずい別れ
「俺、お前のほうに聞いてんだけど。トシナリ君」
鼻で笑いながら話すその言い方に警戒心が沸き起こる。でも、こんな意地悪な上級生にどう対処してよいかなんて分からない。私と俊成君は立ち止まると、無言のまま彼を見た。
「なんかこれからサッカーするみたいだけどさ、あそこ、すでに俺達が場所取りしていたんだよな。お前ら邪魔だから別の場所行ってやってくんない?」
「場所取り?」
俊成君たちが来る前から公園にいた私は、思わず言葉を繰り返してしまった。この人の言っていることはウソだ。だって私、四年生の人たちなんか一人も見ていなかったもの。
確認したくて三組の男の子たちがいた方を見やると、彼らはすでに他の四年生たちに取り囲まれ、じりじりとこちらに向かって追いやられているところだった。
「あそこは、……二年生の場所よ」
後からやってきたのに力で自分達の場所を奪い取ろうとする上級生に、思わずかっときてしまう。なんでこんな納得いかないこと、平気でごり押ししようとするんだろう。けれど次の瞬間、大西の顔を見てびくりとした。
「なに? お前」
すっと細まる目。不快感をあらわにしたその表情。
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