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今更ながら、「下級生をいじめて泣かすから気を付けろ」というお姉ちゃんの忠告が思い出された。
「あ……」
一気に後悔が押し寄せる。この後どんな意地悪をされるんだろう。怖さに足がすくんでいると、私の腕をつかみ体を後ろに引いて、俊成君が前に出た。
「本当に場所取りしていたか、分からないよ」
温厚な性格で私に対して怒った表情など見せたことの無い俊成君が、大西のことを睨みつける。
「ふぅん」
大西は短くつぶやくと、俊成君の胸ぐらを思い切り突き飛ばした。たまらず俊成君が大きく転ぶ。
「俊成君!」
「大西!」
私が慌てて俊成君に駆け寄ったのと同じくらいの勢いで、四年生が向こうから走ってきた。
「それ以上やると、また公園使えなくなるだろ!」
そんな友達の忠告に舌打ちすると、大西は倒れている俊成君の鼻先を掠めるように大きく地面を蹴り上げた。砂埃が舞い散って、俊成君が顔を背ける。
「ほら、早くどけよ」
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