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背中を向けた俊成君になんて言って良いか分からずに、しばらくその後姿を黙って見つめてしまう。
「……ごめんね」
ごめんね、俊成君。
そして私はくるりと振り返り、東側の入り口に向かって駆け出した。ちょうど入り口には真由美ちゃんが着いていて、私を探して辺りを見回しているところだった。
「真由美ちゃん!」
「あ、あずさちゃん。ごめんね。遅れちゃった」
「行こ!」
「え?」
「早く、真由美ちゃんのおうちに行こうっ。早くしないと日が暮れちゃうよ」
「あ、うん」
戸惑う真由美ちゃんの腕を引っ張ると、大急ぎで公園を後にした。
あれ以来、私は俊成君とうまく話すことが出来なくなった。
公園や学校でばったり出会うこともあったけれど、挨拶をすることが出来なくて、わざと目を逸らして知らん振りした。そして目を逸らす度、自分の中に罪悪感が生まれ、余計に俊成君の顔を見ることが出来なくなってしまう。
俊成君はそんな私に何か言いたそうにじっと見つめてくるのだけれど、でもやっぱり彼も話しかけにくそうで、結局お互いに知らん振りしてしまっていた。
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