4.夏の散歩

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 お姉ちゃんもお父さんも小型犬はあんまり好きではなくて、飼うんだったらやっぱり中型犬以上だよねー。って二人で声をそろえていた。私は小さいのも好きなんだけれど、この場合、『普通に動物好き』な人よりも『大いに好き』な人のほうの意見が強い。小型犬と違い、毎日きちんと運動をさせなくてはいけない中型犬以上にとって、散歩は重要な問題だ。  仕事が忙しいお父さんが毎日犬の散歩をするのは大変だし、お母さんだって働いている。そういう訳で、お姉ちゃんや私が毎日散歩できるくらいに大きくなった年、つまりお姉ちゃんが中学一年生で私が小学五年生になった今年、我が家に犬がやってくることになった。  どんな犬種を選ぶか、というのも犬を飼う前の楽しみなのかもしれないけれど、我が家の場合はあっさり決まってしまった。お父さんの田舎で四月に子犬が生まれたんだ。母犬は紀州犬ということらしいけれど、父犬は不詳。とりあえず、毛並みがふかふかして茶色の、なんだかポメラニアンと柴犬の中間みたいな子犬。四月に家族会議を開いて犬を飼うことが決定して、七月末、夏休みが始まると同時に家族で田舎に行き、引き取った。
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