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背中からお腹まで、コロの全身をくまなく撫で回すと、私は玄関においてあるリードを手にした。
「散歩行ってくるね!」
「まだお昼よ。早朝の散歩、お姉ちゃんがやったんでしょ?」
「いいの。行ってくる!」
勢い込んで宣言するとお母さんは肩をすくめ、「はいはい、いってらっしゃい」と手を振った。
玄関を出て夏の空を仰ぐと、雲ひとつなく青く晴れ渡っている。電信柱にはセミが止まっていて、ミーンミーンとよく響く声で鳴いていた。私の額はすでに汗でぬれていて、頭を太陽がじりじりと焼いてゆく。慌ててまた家に戻ると帽子を被り、今度こそ本当に散歩に出た。
「さ、行こう」
足元を落ち着き無くうろつくコロに声をかけ、歩き出す。
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