31.✵

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 はぁはぁと息を整えながら、無意識のうちに俊成君の髪の毛を指で梳いていた。受け止めるだけだったのに、まるで全力疾走をした後のようだった。  それからしばらく二人、ただ黙ってじっとしていた。でもほどなくして、俊成君がゆっくりと動いて私の中から去っていく。初めてこじ開けられた痛みはぼうっと続いているけれど、体が離れてしまったことがひどく寂しい。 「俊成君」  自分の始末をつけ、すぐに戻ってきた彼に手を差し出して呼びかけた。 「ん?」 「ぎゅって、して」  疲れてしまったせいか、ちょっと舌足らずのしゃべり方になっている。甘えているなぁって自分でも思うけれど、今更意地を張る気も無い。俊成君は柔らかく微笑むと、望みどおりぎゅっと抱きしめてくれた。  さっきまでいっぱい快楽を与えてくれて、それはそれで自分にとって大切なことなんだけれど、この抱擁が一番好きかも知れない。何よりも、俊成君に包まれていることが実感できる。 「あと、始末しなくちゃな」 「……うん」  初めてだった私をいたわる様にそっと言ってくれるのだけれど、まだ動きたくなくて曖昧にうなずいた。 「温泉入っているみたい」
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