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無意識のうちにつぶやくと、鼻をつままれた。
「痛いよ」
「一人で落ち着くな」
抗議したら言い返されて、逆に俊成君が私の肩に顔をうずめてきた。彼の髪の毛が頬を掠めるのが、心地よい。
このままずっと、こうしていたいな。
俊成君の頭を抱きかかえ、髪の毛を指ですくってもて遊ぶ。自然に口元がにやけてきてしまった。へへって間抜けな笑いをした途端、俊成君がため息をつきながら顔を上げる。
「やっぱり離れたくない。ずっと一緒にいたい」
ふてくされた子供みたいな表情に、一瞬黙ってまじまじと見つめてしまう。
「我がまま、言ってる」
自分だって同じこと思っていたくせに、妙に冷静になって言い返してしまった。俊成君はう、ってつまった顔をして、こちらを見る。その表情がやっぱりまだ子供みたいで、優しい気持ちがにじむように浮かんできた。今度は私が息を吐き出し、力を抜く。
「でも、……いいよ。待っている。離れていても、そばにいる。俊成君と同じだよ。私もずっと俊成君のそばにいたいから」
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