31.✵

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 よく考えるとあんまり意味の通っていない言葉だけれど、公園にいたときよりもずっとずっと、楽な気持ちでそういえた。とても素直になっている。素直になったついでに、またにやけた笑いをしてしまった。もうどんな顔していようと、いいやって思えた。 「やっぱり、あずがいい」  目を細めて、ゆっくりと頬を撫でながらつぶやくから、私も俊成君の瞳を見つめて腕を伸ばす。 「私も、俊成君がいい」  顔が間近に迫ってきて、柔らかいキスが落とされる。宙に浮いた私の腕は彼のうなじに巻きついて、そして最後はまた抱きしめる形となった。  本当。私、俊成君のことが好きだ。  幸せな気持ちで、そうはっきりと思った。
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