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食い意地が張っているのを指摘されたみたいで、思わずむきになってしまった。しかもさらに追い討ちをかけるように嫌味を言ってしまう。
「なんかこれから子供がお使いに行くみたいだよね」
うわ。可愛くない。
自分で放った言葉に軽く落ち込む。なんでこんなときに、こんな憎まれ口叩いちゃうんだろう。
うかがうように俊成君をそっと見つめたら、何も言わずにぽんぽんと私の頭を撫でてくれた。その反応にほっとする。俊成君と私の距離がちょっと近付いて、彼の腕と私の肩が触れた。
公園まで差し掛かると、コロは当たり前のように中に向かっていこうとした。毎朝の散歩の時間よりちょっと早いけれど、歩くコースはいつもの道だ。
「散歩じゃないよ、コロ」
「時間あるから、大丈夫だよ」
そういって、俊成君は先に公園へ入っていく。犬の散歩もなんとなく時間帯があって、この公園の場合、朝は六時くらいからいつもの犬と飼い主さんたちが現れてくる。まだ六時前、そして休日のこの時間はぽっかりと空いていて、私たち以外は誰もいなかった。
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