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言われた途端、美佐ちゃんの腕が伸びて私の腕をがっちり掴む。
「あずさを泣かせたんだから、そうそう許すなんて出来ないでしょ」
「み、美佐ちゃん」
それは恥ずかしいから、止めてーっ。
思わず真っ赤になってうつむいてしまった。卒業式の日、泣いてしまったのはひとりで勝手に盛り上がってしまったからで、何でそうなったのかといえば私が最後まできちんと俊成君の話を聞かなかったからで、なんで途中で逃げ出しちゃったかというとひとりで勝手に盛り上がっちゃったからで、ああもう、ループしているよ。
一気に今までの事が思い出されて、焦ってしまう。自分の感情をかき乱し続けている人と、それをなぐさめ見守ってくれていた人が同時にいるんだ。これで平然としている方がどうかしている。
「分かっているよ」
ふわっと頭に手の重みが乗って、俊成君の声が耳に響いた。驚いて顔を上げると、俊成君が真っ直ぐ美佐ちゃんを見つめている。
「とりあえず、もう泣かせるような真似はしない」
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