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「倉沢、ゴールデンウィークには帰ってくるんでしょ? また会うからね、四人で」
嫌とは言わせないからね。って台詞が聞こえてきそうなくらい、きっぱりとした言い方だった。何か言い返すかな? そう思ったけれど、俊成君は案外あっさりと返事をする。
「分かった」
短い答えだけれど、嫌がってはいないみたい。こっそりと美佐ちゃん勝久君と目配せして、もう一度笑いあった。
◇◇◇◇◇◇◇
「誰か来た」
「え?」
つい思い出にひたっていたら、俊成君の声で現実に引き戻された。
「コロ、戻っておいで」
慌ててコロを呼び寄せる。ある程度走り回って満足したのか、素直にコロはやってきて、私の前で立ち止まった。
「良い子だ」
頭を撫でてリードをつける。隣で俊成君が腕時計を見て時間を確認していた。
「そろそろ行く?」
「うん」
うなずいて、俊成君が立ち上がる。私たちは駅に向かって歩き出した。
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