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「大学のこととかあずのことを真剣に考えるようになったのはその後戻ってからだけれど、今思うと、多分あれが最初だ」
俊成君はそこまで言うと立ち止まり、私と向き合う。気が付けばもう駅の階段まで辿り着いていた。
「だから、夏は一緒にカンナを見よう」
しばらく二人何も言わず、ただ見つめあった。
「一緒に、見たいな」
震える声で、それだけをつぶやいた。
俊成君と幼馴染でよかった。こうして二人、思い出を共にしている。
「うん。見よう」
あのときと変わらない笑顔で、俊成君がうなずいた。つないだ手を愛おしむように、指が絡まりぎゅっと握り締められる。お別れのときが近付いていた。
見送りはここでおしまいだから。
こんな家の近くじゃなく新幹線に乗るまでって私は言ったのに、それを断ったのは俊成君。私を一人で帰したくないって主張した。だからコロも連れてきた。
「あず」
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