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小さく俊成が答える。あずさは聞かれれば答えるしきちんと会話にもなるのだが、俊成はまだまだ口が遅い。母にたずねたことがあるが、「男の子はみんなそうよ」と言って終ってしまった。だが、自分がこのくらいの年の頃を覚えていない良幸にしてみると、この二人の差は不思議だ。成長の差もあるのかもしれないが性格の差もあるのかもしれないと、勝手に自分で結論付けている。
「ユキお兄ちゃんもいる?」
はい、と言って一口大のチョコが入った袋をあずさが突き出す。おう、と良幸は何個か取り出すと、俊成に向き直った。
「トシは?クッキーくれよ」
「やだ」
ぷいっと顔を背け、俊成が拒否をした。
「なんだ、こいつ?」
「あのね、トシちゃんはね、おばあちゃんに怒られたの」
良幸を見つめ、あずさがたどたどしく説明をした。
「二人で分けなさいって、チョコとクッキーくれたのに、トシちゃんが独り占めにしちゃったの。おばあちゃんが怒ってもうあげないって言って、だからトシちゃんにクッキーあげたの」
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