おまけ話:二人の時間3. 俊成君の部屋

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 気が付くと小さな声で彼の名前を呼んでいて、彼の動きが止まった。 「なに?」  その声の色に気が付いて、そっと目を開ける。途端に私の顔をのぞきこんでいる俊成君の表情が飛び込んできた。 「もしかして、意地悪、してる?」  動きは止まっているのに俊成君が入ったままだから、私の体の中のスイッチも入りっぱなしだ。もどかしい切なさで涙目になる。俊成君はそんな私を見つめると、嬉しそうに微笑んだ。 「意地悪はしてないよ。ただ、あずの欲しがる顔が見たかっただけ」  やっぱり意地悪だ。  上目遣いに無言で睨んだら、くすくす笑いながら耳元でささやかれた。 「言ってよ。どうして欲しい? この後どうされたい?」 「やっ……」  耳に掛かるその吐息にびくついて、体が震える。嫌と首を振ったのに、私の中がうごめいた。 「欲しいところにあたっている? あず、俺に聞かせて。顔を見せて」
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