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そう言うと、俊成君は私を見上げにっこりと微笑んだ。柔らかな、優しい笑顔。俊成君は男の子だけれど、女の子の私でも真似できないようなとっても良い笑顔を見せる。私は俊成君のこの表情が大好きで、俊成君に微笑まれるとそれだけでいつも嬉しくなってしまった。
「あずちゃん、今日は遅かったんだね」
「お母さんがお迎え来るのが遅れたの。あと、スーパーでおつかいしてたから」
そう言いながら、俊成君の横に座る。
ふかふかで革張りのソファー。大人が三人座れる大きさだけあって、一人で座るのは広くてちょっと落ち着かない。でも、俊成君と一緒だと大人一人分のくぼみにちょうど収まって、座り心地がいいんだ。
私がこのいつもの定位置で一息つくと、いいタイミングで番組が始まった。
◇◇◇◇◇
「今日もアキラ君、カッコ良かったよねー」
二十分後、私はため息を付きながら伸びをした。男の子向けのロボットアニメ。だけど主人公のアキラ君は強くて格好よくて、女の子の間でも人気なの。絵里ちゃんがお昼寝の時間にアキラ君が好きって教えてくれたけど、私なんて第一話から好きになったんだから。絵里ちゃんよりも先よ。
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