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「あずさちゃん、ジュース飲む?」
台所から、おばあちゃんの声がした。
「うん。飲む」
返事をして隣にいる俊成君をのぞき込む。
「俊成君は?」
「飲む」
そして二人いっせいに立ち上がり、台所へ駆けてゆく。
「うわっ、なんだよお前ら」
てっきりおばあちゃんだけだと思っていたのに冷蔵庫の前にはユキお兄ちゃんがいて、今にも牛乳を紙パックから直接飲もうとしているところだった。
「ユキお兄ちゃん、お行儀悪い」
「良いんだよ。これは俺のなの」
「良幸、なにやってるの」
「あー、もう」
おばあちゃんに見つかって仕方なく牛乳をコップに注ぐと、ユキお兄ちゃんは私の頭を軽く小突いてソファーに座った。
良幸お兄ちゃんは倉沢家の二番めのお兄ちゃん。中学一年生だからやっぱりうんと歳が上。俊成君のおうちはこの二人のお兄ちゃんたちとあとおじさんとおばさん、そしておばあちゃんの合計六人で暮らしている。私の家はお父さんとお母さん、それにお姉ちゃんと私の四人だから、えーっと、二人俊成君ちのほうが多いのか。
「そう言えばあずちゃん、運動会の話知っている?」
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