1.最初のはじまり

6/9
前へ
/364ページ
次へ
「私もする! そしたらさ、両方からお願いしてるんだからさ、先生もお願い聞いてくれるよ」 「うん」  私の断言に俊成君は嬉しそうに微笑んで、その顔を見て私も余計に嬉しくなった。  俊成君と私は同じ病院で産まれたから、赤ちゃんの頃から一緒にいた。お母さん達は私達が産まれる前に同じ『ハハオヤガッキュウ』っていうのに行っていて、それで仲良くなったんだって。なのに保育園は別々で、俊成君とは一緒に通園したことが無い。運動会、一緒にやるんだ。なんだか凄い楽しみ。 「来年になったら同じ小学校に通えるから、そうしたら運動会みたいに、毎日一緒に通えるよね」  ようやくジュースを飲み始めて、俊成君がつぶやいた。そうか、来年になったら同じ小学校かぁ。 「早く春にならないかな」 「うん、楽しみ」  二人で顔を見合わせて笑ったら、ソファーから呆れたような声が聞こえた。 「お前ら本当に仲がいいよな」 「うん」  素直にうなずくと、ユキお兄ちゃんはもはや何も言わず、テレビのチャンネルを変えだした。 「それであずさちゃん、今日は夕飯どうするの? ここで食べる?」
/364ページ

最初のコメントを投稿しよう!

250人が本棚に入れています
本棚に追加