1.最初のはじまり

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 おばあちゃんの問いかけにはっとして、私は慌てて立ち上がる。 「今日はね、おうちのご飯、餃子なの。だからお家でご飯食べる。そろそろ帰らなくちゃ」 「明日は?」  つられて俊成君も立ち上がり、首をかしげて聞いてきた。 「明日はね、『くら澤』でご飯食べるよ。お姉ちゃんのお誕生日なんだ」 「おや、うちでかい?」 「うん。さっきお使いの途中でおばちゃんに会って、お母さん予約したよ」 「ありがとうね」  おばあちゃんがにこにこ笑いながら言ったので、私もどんどん嬉しくなってしまった。 「あのね、『くら澤』はね、ハンバーグが大好きなの。上に目玉焼きが乗っているやつ。お箸で崩すと黄身がとろって出てくるの」  俊成君のお父さんとお母さんは商店街で洋食屋さんをやっている。『くら澤』という名前のそこは私たち家族の大のお気に入りで、何かあると必ずそこでご飯を食べた。明日は奈緒子お姉ちゃんのお誕生日だけれど、来月はお父さんのお誕生日があるからまた行ける。 「じゃあ、明日はあずちゃんに会えないの?」  ちょっと寂しそうな表情で俊成君が言うから、私は慌てて首を振った。
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