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おばあちゃんの問いかけにはっとして、私は慌てて立ち上がる。
「今日はね、おうちのご飯、餃子なの。だからお家でご飯食べる。そろそろ帰らなくちゃ」
「明日は?」
つられて俊成君も立ち上がり、首をかしげて聞いてきた。
「明日はね、『くら澤』でご飯食べるよ。お姉ちゃんのお誕生日なんだ」
「おや、うちでかい?」
「うん。さっきお使いの途中でおばちゃんに会って、お母さん予約したよ」
「ありがとうね」
おばあちゃんがにこにこ笑いながら言ったので、私もどんどん嬉しくなってしまった。
「あのね、『くら澤』はね、ハンバーグが大好きなの。上に目玉焼きが乗っているやつ。お箸で崩すと黄身がとろって出てくるの」
俊成君のお父さんとお母さんは商店街で洋食屋さんをやっている。『くら澤』という名前のそこは私たち家族の大のお気に入りで、何かあると必ずそこでご飯を食べた。明日は奈緒子お姉ちゃんのお誕生日だけれど、来月はお父さんのお誕生日があるからまた行ける。
「じゃあ、明日はあずちゃんに会えないの?」
ちょっと寂しそうな表情で俊成君が言うから、私は慌てて首を振った。
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