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「きっとお父さん帰ってくるの遅いから、保育園から帰ってもすぐには『くら澤』に行けないよ。だから明日もまた来るね」
「うん。きっとだよ」
「うん!」
私はジュースを飲み干すと、「ごちそうさま」と「おじゃましました」をいっぺんに言って、家へ帰った。
私の保育園時代はこんな感じで、毎日俊成君と一緒にいるのが当たり前だった。世界はとっても単純で、二人の仲はこのままずっと続くのだと思っていた。
でも年齢が上がれば、二人の世界が広がれば、交流も変わってしまう──。
翌年、晴れて同じ小学校に入学はしたものの、私と俊成君のクラスは違ってしまった。私が一組で、俊成君が三組。一学年に三クラスだけなので、気持ち的には端と端だ。
入学式の後、桜の下で二人揃って写真を撮ったけれど、二人だけで写るのはこれが最初で最後となってしまった。
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