お色気お兄さん×空洞男子校生(BL)

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お色気お兄さん×空洞男子校生(BL)

※BL今のところ現代もの ↓ ↓ ↓ 無人駅の待合室で僕はぼんやり始発を見送った。 あたりは霧に包まれていて、電車はすぐに見えなくなった。 ガタゴトと遠ざかる音に耳を澄ませる。 朝練に行かなければ、辛い思いをするのは自分なのに、あとの事がどうでもよくなって、ここに座っている。 僕は心の健康にたいそう気を遣っているから。 だからたまにこうして、僕の全てをかなぐり捨てて、自由を満喫するのだ。 心の声を無視し続ければ、すぐに心は枯れてしまうから。 先輩にどやされるとか、次の電車には乗ろうかとか、同高の奴らが来たらどうしようかとか、ぼんやり考える。 けれどどれも他人事みたいに感じて、すぐにどうでもよくなった。 とても気分がいい。 早起きして、誰もいない駅で、冷たい空気を吸い込む。 最高じゃないか。 いつまでもこのまま時が止まればいいのに。 けれど何故だろう、霧が徐々に薄くなっていく。 霧の向こう側にはちらほらと人影が見えた。 さっきまでの高揚が嘘のようにすっと引いていき、空っぽになってゆく。 やっぱり、僕の心には穴が空いているんだ。 だから満たされない。 最後には虚しさだけが残って、心の穴を侵食して大きくしてゆく。 あんまり虚しくて、消えてしまいたくなる。 一時的な高揚じゃ僕は満たされない。 けれどどうすればいいのか僕にはわからない。 「だいじょうぶ?」 艶のある低い声に話しかけられ見上げると、そこにははっきりとした顔立ちの美女がいた。 混乱する頭を置いてけぼりにして、胸が高鳴る。 これも所詮、一時的なときめきに違いない。 つづく………かも…
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