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four
壁に背をもたれ時が経つのを待つ。
時計は手に入ったが始まった時間がわからないので制限時間と言われた一時間後があと何分後なのかわからない。
暫くそうしてずっと指をいじって座っていると反対側から複数人の足音とともに話し声が聞こえてきた。
「ぬっ...抜けれた..?」
「向こう側にも出口みたいなのがあるしここが真ん中なんだろう、見る限り円形か?」
「取り敢えず一時間以内に出れたみたいでよかったです...!」
立ち上がって声の主を探ろうとすると向こうもこちらに気がつく。
黒髪で少し背の高い男子とふわっとした腰まである茶髪の女子、黒髪の背中まであるストレートの女子。
制服は自分達と同じもので、少なくとも校舎ですれ違ったことのあるかもしれないぐらいの関係だということはわかった。
「えっと...確か..鈴村、綾瀬さん、瀬野さん..だっけ?」
「ん?知り合い?」
遊飛が三人の名前を当てる。
タメ口ということは同じ学年、高校二年生かひとつ下の高校一年生なのだろう。
すると遊飛は呆れたように答えた。
「クラス替えして二ヶ月も経ってんだけど....せめてクラスメイトの顔ぐらいはいい加減覚えろよ陰キャ...」
どうやら三人は私と同じクラスだったらしい。
いやぁコミュ障すぎて人と目合わせて..というか顔見て話せないから顔覚えないんだよねぇ。とか言ったら遊飛に更にいじられそうだから黙っといた。
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